記事の要約
- OpenAIがアジア4カ国でデータレジデンシーを提供開始
- ChatGPT Enterprise、Edu、APIプラットフォームが対象
- 日本、インド、シンガポール、韓国でのデータの地域内保存が可能に
OpenAIがアジア4カ国でデータレジデンシーを提供開始
OpenAIは2025年5月7日、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Edu、APIプラットフォームにおいて、日本、インド、シンガポール、韓国でのデータレジデンシー(地域内データ保存)の提供を開始した。これにより、これらの国で事業を展開する企業や組織は、現地のデータ主権の要件を満たしながらOpenAIの製品を利用できるようになったのだ。
この機能は、OpenAIが提供するエンタープライズグレードのプライバシー、セキュリティ、コンプライアンス機能を強化するものである。既にKakao、SoftBank、Grab、シンガポール航空など、アジア全域の企業や組織がOpenAIのセキュリティ機能を活用している。
ChatGPT EnterpriseおよびEduでは、新規ワークスペースをサポート対象国でのデータレジデンシーを有効にして設定できる。APIプラットフォームでは、APIダッシュボード上で新しい「プロジェクト」を作成し、リージョンとして対象国を選択することでデータレジデンシーを有効化できるのだ。
データレジデンシー対応国と主な機能
項目 | 詳細 |
---|---|
対応国 | 日本、インド、シンガポール、韓国 |
対象サービス | ChatGPT Enterprise、ChatGPT Edu、APIプラットフォーム |
データ保存場所 | 選択されたリージョン |
暗号化 | 保存データ:AES-256、転送データ:TLS 1.2以上 |
モデル学習への利用 | 明示的な同意がない限り利用しない |
プライバシー法準拠 | GDPR、CCPAなど |
セキュリティ基準 | CSA STARおよびSOC 2 Type 2 |
データ処理契約(DPA) | 提供 |
データレジデンシーの解説
データレジデンシーとは、データの保存場所を特定の地域に限定する仕組みである。これは、データ主権やプライバシー規制への対応において重要な要素となる。
- データの地理的制限
- データ主権への対応
- プライバシー規制の遵守
OpenAIは、データレジデンシーの導入により、アジア地域の企業や組織が安心してAIを活用できる環境を提供することを目指しているのだ。
OpenAIアジア地域データレジデンシーに関する考察
OpenAIによるアジア4カ国でのデータレジデンシー導入は、アジア市場におけるAIサービスの普及を促進する上で大きな一歩となるだろう。データ主権への配慮は、企業にとって重要な要素であり、この対応によって、より多くの企業がOpenAIのサービスを採用する可能性が高まるのだ。
しかし、データレジデンシーの導入は、OpenAIにとって運用コストの増加や、地域ごとの規制への対応といった新たな課題をもたらす可能性もある。特に、データセンターの構築や維持管理、法規制の遵守には、多大な費用と労力が伴うだろう。
今後、OpenAIは、データレジデンシー対応地域を拡大し、より多くの言語や機能に対応していくことが期待される。また、データセキュリティの強化や、ユーザーフレンドリーなインターフェースの提供も重要となるだろう。
参考サイト/関連サイト
- Open AI.「アジアにおけるデータレジデンシーの導入」.https://openai.com/ja-JP/index/introducing-data-residency-in-asia/, (参照 2025-05-09).